新井悠司社長の物語
006 — PRESIDENT STORY

地方に仕事が無いなら、作ればいい。

世界NO.1が認めたハーブ障がい者が作っていた。

【問い】── なぜ、あなたのような人が、福祉をやってるんですか?

新井 悠司ARAI YUJI
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01
The Question
【問い】なぜ、あなたのような人が、福祉をやってるんですか

世界一予約が取れない、ミシュラン3つ星店『noma(ノーマ)』をはじめ、一流の料理人たちが、「味が全然違う」と口を揃えるハーブがある。



そして育てているのが、障がい者だと知ると、誰もがもう一度驚く。



その仕掛け人が、就労支援事業を行うALSIA株式会社の社長、新井悠司だ。



大企業の経営者をはじめ、会う人によく聞かれる。



「なんで、あなたのような人が、福祉をやってるんですか?」


新井は東証プライム上場のエネルギー商社出身。25歳で営業課長に抜擢され、「将来の役員」と言われていた。転職した先の三菱UFJグループ企業での法人保険でもトップセールスとして活躍した。



どんなビジネスをやっても成功し、高額報酬を得られたはずだ。



それでも彼は今、障がい者の仕事を作ることに、全身全霊を捧げている。



なぜなのか。

02
Origin
【原点】困った人を、助けられる人間に

幼いころ、電車でお年寄りにさっと席をゆずる母を見て「カッコいい大人だ」と思った。ありのままを受け入れてくれた母のおかげで、おおらかに育った。



しかし、大学三年の冬。祖父が創業し、父が継いだ建設会社が倒産した。夜逃げのように去った日、最後の食卓には、ご飯とたくあんしかなかった。



その時、思った。


__困っている人を助けられる人間になりたい。



以来、ずっと心にあった。



そんなある日、こんな一言から、すべてがはじまった。


「福祉ビジネスって、興味ある?」
03
Breakthrough
【突破】「はたらくことは、生きること」

福祉事業は、国や自治体からお金が出るのでラクして稼げると見られがちだ。実際、一部では不正受給で告訴された企業も存在する。



しかし、新井はビジネスの世界から入ってきた人間だ。「仕事をちゃんと作って、しっかり稼ぐ」ことにこだわる。



創業当初は一個5円の内職など、何でも請けた。背中を見せれば彼らも動く。そう信じ、自ら作業した。だが、時間になれば全員帰っていった。半年たっても、誰も手伝わない。来月には資金も尽きる……



そんな7ヶ月目。



ようやく一人、また一人とついてきてくれるようになった。



「あと1ヶ月、振り向いてもらえなかったら……。たぶん、自分は今ここにいなかったです。」


転機は2年目。



脳梗塞で半身不随になった男性を、畑へ連れて行った翌朝のことだ。



その男性は満面の笑みで言った。


「腹が減って起きたのは、いつぶりか分からない…」


その一言が、新井にスイッチを入れた。



強い薬で日中眠りがちな人もいるこの世界で「腹が減って目が覚める」のは当たり前ではない。



「自分は、すごく価値のある仕事をしているのかもしれない…本気で、彼らの仕事を作らなきゃいけない。」


そう思った瞬間、福祉が事業から ”使命” に変わった。



「あの日から、寝ても覚めても、障がい者の仕事のことを考えてます。」
04
The Herb
【挑戦】世界の一流店が選んだ、ハーブ

彼らの心を穏やかにする作物を育てたいと新井は水耕栽培にたどりつく。しかし、誰でも作れる野菜では選ばれない。そこでプロの料理人が唸る"尖ったハーブ"を作ろうと、設備も栽培方法も独自開発。すると、不思議なほどすんなりとつくれた。



じつは新井のご先祖は、御殿医だ。「その中でも、薬草を作る役だったんじゃないかな」と母は言う。



新井はそのハーブを手に、京都に期間出店していた『noma』へ、飛び込んだ。


「なんで、こんなに美味いの?」
「障がい者が作ってるんです」

驚いたシェフは言った。


「今すぐ、あるだけ送って!」


1人17万円のコース食材に採用された。



以来、一流ホテルやミシュラン星付き店にも広がっていった。



だが、新井が作りたいのは野菜ではない。



仕事だ。



新井は皆で工夫し一流が認める活動を「劇団ハーブ®」と名づけた。障がい者やハーブを"劇団員"に見立てた名称だが、水耕栽培に限らない。



今、この活動を地方企業に「新たな事業」として組み込む展開に取り組んでいる。

05
The Solution
【解決】仕事が無いなら、作ればいい

日本の障がい者は、1000万人超(約10人に1人)誰もが突然その一人になりうる。だが、企業で働くのはわずか70万人。国の支えだけでは追いつかない。



障がい者は就職すれば、行政のサポートが終了してしまう。結果、支援が途絶えた末に、10人中7人が辞めていく。だから怖くて前に進めない。



ならば、「仕事と、周囲で支える仕組みをセットで作ればいい。」



新井の解決策はシンプルだ。



まずALSIAで数ヶ月間、栽培作業ができるよう根気強く伴走する。その後、企業に共同事業として直接雇用してもらう。



就労継続支援B型事業所の全国平均工賃が月額25,000円であるのに対し、この仕組みを活用すれば、月15万円支払うことが可能になる。



自分たち亡き後の我が子を案じる親にとって、どれほど救いになるだろう。



さらに、画期的なのはその先だ。



就職してからもずっと、本人と企業の双方にALSIAが「伴走」し続けられる仕組みを作った。



万が一の戻れる場所を残し、互いに一歩を踏み出せる体制だ。



これが可能なのは、ALSIAが ”水耕栽培メーカー” でもあるから。初期投資ゼロで導入できる企業、極上食材を求める料理人、そして働き手とその家族。皆が幸せになれる仕組みだ。



企業にとって、障がい者雇用率の未達は、もはや罰金だけで終わる話ではない。「働く人の多様性を大切にします」とIRで掲げた姿勢を考えると、社名公表など見過ごせない課題になっている。 社員や地域住民の10人に1人は、彼らやその家族、親戚なのだから。

06
Momentum
【拡大】「劇団ハーブ®」が動き始めた

北海道の東証スタンダード上場企業が廃校の小学校を活かし、年内に10人送り出そうと「劇団ハーブ®」との協業を決めた。障がい者雇用の人数不足に悩む別の世界NO.1メーカーからも「7人足りないんです」と相談を受け、協議が進んでいる。渋沢栄一氏の玄孫が代表を務める長崎のSHIBUSAWA会とは、ハーブ栽培ではなく『有田焼カレー × 劇団ハーブ®』として、障がい者が陶器に絵付けする形で共演が始まる。いずれも、この1ヶ月の動きだ。



新井は都会でなく、地方展開にこだわる。



「地方を元気にしたいんです。地方に障がい者雇用やコミュニティを作れば、小さくても経済の場と、彼らが生きていける場所を作れますから。」


志を語る新井の眼差しに、気負いはない。「必死に手漕ぎボートで漕いでいたら、帆が付き、風が吹いてスーっと進んでる感覚なんです。目に見えない力というか、ご先祖が喜ぶことをするとフォローの風が吹くんだな、と。」

07
A New Place
【未来】地方に、新しい仕事を生み出す

社名「ALSIA」は、"そこにある、しあわせ(あるしあ)"から。



「僕の役割は、施設を増やすことじゃありません。障がい者の仕事を作ることです。今、全国にいる200人の仲間は皆同僚。上も下もない。1人1人が自分の役割を、まっとうするだけでいいんです。」


そう語る新井は福祉の枠を超え、障がい者雇用を通じて地方を創生するために生まれてきたような社会事業家だ。



家業が倒れ、すべてを失ったあの日の喪失を、心に傷を負った新井は「障がいを負う痛みと、どこか似ている気がします。」と語った。



あの日、帰る場所を失った青年は今、誰かの ”居場所” を作り続けている。



思い出してほしい。



あなたの会社の、あの使われていない一室。持て余している、あの土地。



そこが、「だれかの生きる希望の居場所」に変わるとしたら__



地方には資金、場所、影響力を持つ企業がある。だからこそ、その企業にしか果たせない社会的役割がある。



nomaを唸らせたハーブを育てる “職人たち”と、彼らを支えつづける仕組みは、すでにある。



もしあなたが、地方の未来に誇りや責任を感じているなら。その挑戦は、地方企業の "先駆け” となる。


『地方500か所に、障がい者20,000人の仕事を作る。』



と言い切る新井。



「県に10人、同じ志を持つ経営者たちがつながれば、実現します。」


新井悠司から話を聞くなら、今だ。

1000
万人超
日本の障がい者数
(約10人に1人)
70
万人
うち、企業で
働く障がい者数
15
万円
劇団ハーブ活用時の月間工賃
(全国平均は2.5万円)

地方に仕事を、
誰かの居場所を。

向き合っているのは、福祉ではなく、一人の人生。
新井悠司の挑戦は、今日も地方から始まっている。

— 完 —
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